遺言は作成だけでは意味がない!「遺言執行者の選任」が重要です

東京都八王子市のひだまり法律事務所です。生活に身近な法律問題の解決に注力しています。


相続問題は、ひだまり法律事務所がご相談いただく機会の多い法律問題です。高齢化が進む日本では、相続問題の発生件数が増加傾向にあります。相続にまつわる親族同士のもめ事を予防したい方にオススメしているのが遺言の作成です。近年、ご自身で作成する「自筆証書遺言」に関する法律も整いつつあり、遺言がより身近になりました。ただ、遺言作成者の死後、遺言の内容が執行されないことには、故人の遺志が報われません。


ご自身の死後、遺言の執行に不安を残さないため、遺言作成にあわせて「遺言執行者の選任」を済ませおくと安心です。遺言執行者とは、遺言の内容を実現する役割を担う人のこと。遺言に記載して、相続にあたって選任する遺言執行者を相続人に伝えます。遺言作成の依頼を受けた弁護士が、遺言執行者となるのが一般的です。


この記事では遺言執行者の選任や、当事務所が遺言執行者をお引き受けしたケースのほか、変更の方法や報酬の目安といった基本事項を解説します。


遺言執行者の選任が重要

遺言執行者の選任が相続人の勝手な行動を抑止する

遺言執行者は、預金口座に残された遺産の権利を相続人に移すなど、相続の執行という役割を担います。


銀行の口座は所有者が死亡したとき、速やかに凍結され、口座の解約を経て相続が実行されます。遺言で遺言執行者が選任されていると、その人だけが口座を解約したり、預金を振り込んだりできます。つまり、遺言執行者を選任することで、相続人の誰かが遺言を無視した相続を勝手に進めてしまうといったトラブルを予防できるというわけです。


遺言執行者は、未成年者や破産者以外は原則として誰でも選任できますが、利害関係のない第三者に依頼するとよいでしょう。遺言の執行にあたって不正が行われてしまえば台無しになってしまうからです。さらに、法律の専門家を遺言執行者として選任するとより安心です。遺言執行者の役割は手間がかかるため、知人を選任すると相続の発生時にその人が着任を拒否することがあるからです。弁護士は職務として遺言執行者を引き受けてくれるため、いざというときに着任拒否の不安がありません。


遺言執行者が相続のトラブルを予防

遺言執行者をひだまり法律事務所がお引き受けしたケース

① 独身者が第三者に財産を残すことを望んだケース

相続人外に財産を残す「遺贈」という選択肢を選ぶ独身者は少なくありません。遺贈先は、自治体・福祉施設・宗教施設などご本人のご希望によって様々です。ひだまり法律事務所では、お寺への遺贈など、相続人以外に財産を残すための遺言について事例が豊富です。


② 両親が他界しており子どももいないため、奥様による全額相続を望んだケース

両親とお子様がおらず遺言がない場合、故人の兄弟姉妹に相続権が発生します。ひだまり法律事務所では、奥様の全額相続をご希望される方のために遺言作成から遺言執行者までお引き受けしたケースがあります。


③ 複数の兄弟姉妹のうち一部に限定した相続を望んだケース

両親が他界している独身者も、遺産の相続権が兄弟姉妹に発生します。兄弟が複数いらっしゃる方の場合、血を分けた肉親といえども付き合いの程度の差があることがよくあります。あるケースでは、複数人いる兄弟のうち付き合いの多い人に限定した相続をご希望されており、遺言作成から遺言執行者までひだまり法律事務所がお引き受けしました。


遺言執行者は相続人が勝手に変更できない

ご相談者のなかには、悪意のある相続人が遺産執行者を勝手に変更してしまうことを恐れる方もいらっしゃいます。しかし、故人が選任した遺産執行者を変更する場合、家庭裁判所の審判を経た解任が必要です。家庭裁判所が遺言執行者の解任を認めるのは次の2パターンです。


① 遺産執行者が任務を怠ったとき

遺言の内容に反する行為があったときや、必要な手続きを速やかに進めなかったとき、遺言執行者が任務を怠ったとして解任が認められます。遺言の執行において、全てではなくても一部に問題が生じたときでも、任務を怠ったと家庭裁判所から判断されます。


② その他、正当な事由があるとき

遺言執行者が適切な執行を進めていく一方で、特定の相続人や遺贈者に便宜を図ることがあります。この場合も、遺言執行者の解任が認められています。ただし、利害関係者と遺言執行者の感情的な対立だけでは、正当な事由として認められません。


遺言執行者を弁護士が引き受ける場合の報酬の相場

法律事務所ごとに報酬金額は異なりますが、相続財産の総額に応じて変わるのが一般的です。

相続財産の1%〜3%が報酬金額の相場とされています。

報酬金額のパーセンテージ自体も、相続財産の総額に応じて増減することがあります。


弁護士に遺言執行者を依頼したときの相場

遺言は作成者と執行者を同一にすると相続がスムーズ

身近な制度として認知されつつある遺言ですが、執行にあたっての不安を解消するために遺言執行者の選任が効果的であることをお分かりいただけたと思います。


遺言執行者は、遺言作成者と同じ人に依頼すると、意図を汲み取って執行を進めてくれるため相続がスムーズです。ひだまり法律事務所は、身近な法律トラブルの解決を目指してご相談者のお気持ちに寄り添うことを大事にしてきました。遺言作成は、執行まで安心してお任せいただけるひだまり法律事務所にご相談いただけると幸いです。

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