2020年施行の改正民法で認められた「特別寄与料の請求」を解説。血縁関係にない介護者も遺産相続ができる?

東京都八王子市のひだまり法律事務所です。

 

2019年1月より、改正民法が順次施行されています。法律は、人々のよりどころ。特に民法は、皆様の暮らしに直接関わる事柄を数多く定めた法律です。改正が決まってからも、弁護士などの専門家たちがその影響について議論を深めていました。今、日本の後期高齢者(75歳以上)の人口は、約13%。日本の平均寿命は男性で約81歳、女性で約83歳。少なくない日本人が、遺産相続の問題に直面する確率が高くなっています。

 

そのためでしょうか。ちまたでは相続に関する書籍や特集が、続々と編まれています。相続に関する事柄を定めるのも民法です。相続のありかたも改正民法施行によって、変化してくるものと思われます。今回は、相続のありかたを変えることになる改正内容として注目されている「特別寄与料の請求」というキーワードについての基礎を解説します。

特別寄与料の請求とは?

特別寄与料で相続人の配偶者にも相続の機会が  

「特別寄与料の請求」をざっくりと説明するなら、亡くなられたご本人の配偶者の子供等相続人以外の親族が、相続人に金銭支払いを請求することです。このことを改正民法は権利として認めています。

 

民法 第1050条1項

被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第891条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。

 

特別寄与料の請求を認めるようになる背景

「特別寄与料の請求」が認められる背景には、日本の家族制度と高齢化社会が関係しています。

 

高齢者となれば、ほとんどの方々が介護を必要とされます。この介護を慣習としてご本人の長男家族が担ってきました。特に、長男の奥様のご貢献は多大なるものです。しかし、これまでの民法では、相続において長男の奥様が報われることは法律的にはありませんでした。このことについて「不公平」との声があがっている実態を踏まえて、介護に尽力したことを「特別の寄与」として認め、それに応じた特別寄与料の請求が認められるようになります。

特別寄与料の請求にも期限があります!

特別寄与料にも請求の期限があります

今回の改正民法の最終施行は2020年4月ですが、「特別寄与料の請求」が認められる事案は、2019年7月1日以降に開始した相続です。

 

もしご自身や配偶者が、「特別の寄与」に該当すると思われるならば、早めのご相談をオススメします。なぜなら、他の権利と同様に、「特別寄与料の請求」でも申し立て期間という有効期限が定められているからです。「特別寄与料の請求」では、「相続開始および相続人を知ったときから6ヶ月以内」あるいは「相続開始から1年以内のいずれか早いほうまで」と決められています。

 

特別寄与料に相場ってあるの?

改正民法の定めるところの特別寄与料では、法定相続分などのように「財産の2分の1」という風な金額の基準が具体的に示されていません。

 

民法 第1050条3項

家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の額を定める。

 

「特別寄与料」の相場は、今後、徐々に明らかになってくることなので、現状はなんとも申し上げることができません。しかし、上掲した同様の条文が、従来の民法における相続人の「寄与分(第904条の2第3項)」にも見られる相続人の「寄与分」でも、介護など「財産の維持又は増加」に寄与した法定相続人が、法律で定められた以上の相続割合を主張することが認められています。このことから、「特別寄与料の請求」においては、「相続人の寄与分」に関する司法的な判断が参考にされる可能性があります。

 

ご依頼者のこれから先もまだ長い人生のために、お気持ちに寄り添います

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遺産を残されるご本人がご存命のうちにはどれだけ仲の良かった親族も、いざ遺産相続の場面になると想定以上にいざこざが起こるものです。

 

利害関係者の気持ちの問題も複雑に絡み合うので、もめ事なくスムーズな相続を実現するには、知識・経験だけでなく、「心情に寄り添う姿勢」が必要です。

 

ひだまり法律事務所は、ご親族を亡くされて辛いお気持ちの最中にあるご依頼者の心情に寄り添いながら、ご納得いただける相続をサポートします。ご依頼者のご不安を取り除き、相続のその先に続く人生において悩むことのないように、広い視野を大切にしています。

 

まずはお気軽にご相談ください。

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