養育費・婚姻費用の算定表が改定!何が変わるの?

 

2019年12月、養育費・婚姻費用の算定表が改定されました。これは、離婚、別居など家庭間でトラブルが発生した場合に、養育費・婚姻費用の支払い額の基準として設けられている表です。

 

もちろん個別のケースごとに事情を勘案して実際の金額は決定されますが、算定表は叩き台として基本的な金額の決定に関わる非常に影響力のある基準です。

 

しかし以前の算定表が作られたのは15年も前。有志の裁判官によって作成されたものでしたが作成当初から「金額が低すぎる」「実態を反映していない」などの批判が多く、そうした批判は少子化や養育費の高騰に伴いより強くなっていきました。

 

こうした背景から去年の12月にはついに算定表の見直しが行われました。現代の社会情勢に合致するように行われた今回の改訂。離婚や養育の問題を抱える方々にとって大きな関心事項かと思います。具体的にどういった点が変わったのか、解説いたします。  

養育費・婚姻費用は増額傾向に。

 

基本的に今回の改訂では、低すぎるとされていた養育費・婚姻費用は増額されました。

 

これは、基礎収入割合が変更され割合が大きくなったためです。

基礎収入割合とは、夫婦の収入に占める生活費の割合のことです。15年の年月を経て旧基準に使用されていた統計は古くなり、今回はより直近の統計が用いられて基準が作成されました。

 

具体的には、旧基準で年収500万円までは38%が基礎収入割合とされていましたが、新基準では525万円で42%の割合となりました。

 

これを例に当てはめると、例えば、

子供が2人おり、第一子、第二子共に14歳以下、

夫の収入が500万円で妻の収入が250万円の場合、

 

旧算定基準では、金額は月額4~6万円でしたが、新算定基準では月額6~8万円となっています。

 

生活にかかる費用、学費など養育・結婚のために必要な費用は増加しています。今回の改訂はこのように世相をより精確に反映するために行われたといえます。

 

15歳未満の子どもの養育費・婚姻費用が増額されます。

基礎収入割合で生活費の割合が増加していることが認められたことに関係して、15歳未満の子どもの生活費指数が増加されました。

 

生活費指数とは、親を100とした場合の子どもが必要とする生活費の割合です。今回の改訂で15歳未満の子どもの生活費指数は55から62へと増加されました。これにより15歳未満の子どもがいる場合の養育費・婚姻費用は増加します。

 

しかし逆に15歳以上の子どもの生活指数は90から85へと変更されたので、15歳以上の子どもに対する養育・婚姻費用は減額されます。

 

もっとも、実際に金額を決める際は算定基準のみによらず、具体的な状況に合わせて金額が決定されるため、弁護士にご相談いただく必要があります。父母の収入の変化、再婚、出産などに合わせて養育費の取り決めは変化致します。

 

また、算定基準の改訂前に養育費について取り決めをされていた場合、今回の改訂のみを理由として金額を変更すべきではない、とされています。

 

とはいえ、これから養育費の取り決めをする場合、夫婦間の協議でも新基準は使われますし、裁判所でもこの基準が参照されます。

 

より詳しく今回の改訂について聞きたい、また養育費の取り決めをこれからしたい、変更したい、という方は、ぜひひだまり法律事務所にご相談ください。

 

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