離婚事由での当人の主張と法的解釈の齟齬とは…⁉︎調停離婚で弁護士のつくメリット

こんにちは、八王子で離婚調停をメインに勤める、ひだまり法律事務所です。
例えば、離婚を望む理由には『DV』『浮気』『モラハラ』『性格の不一致』など様々なものがあります。しかし、本人が離婚を認められると思う理由と、法的に認められる理由には意外な線引きの差が多々あります。

本日は離婚に至るまでの流れと共に、当人の主張と法的解釈との食い違いについて、調停離婚で弁護士のつくメリットについて説明していきたいと思います。。

離婚成立までの手順、流れは?



大まかな手順はこの通りです。

1、配偶者に離婚の意思を伝える。
2、相手と離婚条件を話し合う。
3、各種手続きを行う
4、離婚届を出す。

離婚する方法



離婚に至るまでに必要な話し合いの方法は大きく4つに分けられます。

協議離婚:夫婦間の話し合いで成立する離婚。
調停離婚:家庭裁判所で調停委員を介して夫婦で話し合う離婚
審判離婚:調停で離婚が成立しなかった場合、裁判所の判断で審議する離婚
裁判離婚:調停で離婚が成立しなかった場合に訴訟を起こして裁判所で認めてもらう離婚


以上のように日本では離婚した夫婦の約9割が協議離婚で離婚しています。

法的解釈での離婚原因



1、配偶者に不貞な行為があったとき

配偶者以外の異性と自由な意思に基づいて性的な関係を持つことを指します。

基本的には配偶者が他の異性と性交渉を行ったという事実が認められた際に離婚が認められます。また、最近では同性間での性交渉、あるいは不貞行為に相当する行為が認められた場合も離婚原因として認められる場合が出て来ました。

2、配偶者から悪意で遺棄されたとき

正当な理由が無いにも関わらず、夫婦の同居や協力、扶助義務を果たさないことを指します。

例えば、子供を産めないからなどといった身勝手な理由で相手方を自宅から追い出したり、今の家は職場から遠いからと相手方を自宅に置き去りにしたまま帰宅しないような場合はもちろん、舅や姑が相手方に別居せざるを得ないように仕向けたりする場合も『悪意で遺棄』したと見なされます。
一方で、合意による別居や、病気療養やDVからの避難といった正当な理由がある別居はこれにあたりません。

また、同居していても配偶者に婚姻費用として生活費や娯楽費、医療費などを支払わなかったり、子供が未成年者であれば養育費や教育費を合意なく支払わなかったりした場合もこれに含まれます。

3、配偶者の生死が3年以上明らかでないとき

3年以上、配偶者の生存および脂肪が確認できない状態が現在に至るまで続いていることを指します。

配偶者が突然の蒸発、旅行先での失踪などにより、行方不明かつ生死も明らかでない状態が3年以上継続していればこれに該当します。

なお、配偶者が7年以上生死不明の状態であれば『失踪宣告制度』を利用しての離婚が成立します。 これにより、相手方も死亡したとして扱われるため、婚姻関係の解消と共に相続人として相手方の財産を相続することも可能となります。

4、配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき

配偶者が突如、何らかの精神病にかかり、回復の見込みがない場合を指します。

例えば、それまで何の異常も無かった配偶者が仕事からのストレスや、遺伝的要因で突如、重度の精神病にかかったとします。そこでもう片方の配偶者が熱心に看病をしても回復の見込みが無いときや、精神的負荷が過度にかかるときや、健全な家庭を存続することも難しいと考えられる場合は離婚原因として成立します。

5、その他、婚姻を存続し難い重大な理由があるとき

重度のDVやモラハラ、親族間でのトラブルなどによって婚姻状態を続けるのが難しい場合を指します。

配偶者だけでなく、舅や姑、親族や配偶者の親友など、関与する人間などからもう片方の配偶者が精神的および肉体的な暴力を受け続ける状態、および当の配偶者がそれを看過している場合も離婚原因として成立します。

協議離婚が成立しない事由



一方で協議離婚が成立しない場合があります。その例をいくつかご紹介します。

相手の勝手な言い分による離婚を認めたくない場合

例えば、こちらから不貞行為を離婚原因として挙げたとします。ところが相手としてはただ単に異性の交友関係も広く浅くあるだけで、そこに性交渉は一切含まれていないとします。それでも異性との交友関係がある状態自体が不貞行為であるとこちらが主張した場合に、これを認めるわけにはいかないといった事由になります。

また、結婚をしたものの、一身上の都合で精子が少ないとか、妊娠しづらいといった理由で子供が成せない身体であるならば婚姻状態を続ける意義が無いと主張された場合、それは合意が無い限りは一方的な人権侵害となるので協議離婚が成立しない事由になります。

提示された離婚条件では納得できない場合

離婚においては、親権、養育費、面会交流、慰謝料、年金分割など多岐に渡って決めなくてはならないことがあります。それらの条件はどれも判断が難しく、当事者だけで適切な条件のもと、合意するのは大変難しいと考えられています。

例えば、財産分与において、「この家と車はこちらが多く払ったし、仕事で使うからこちらが貰う」という相手の条件に合意をしたものの、それに対してこちらが分与されるべき財産が見合っていなかった場合、離婚成立と見なされない事由になります。

現時点で離婚をしても生活に困ってしまう場合

例えば、現時点で配偶者の片方のみが収入を稼ぐ側で、もう片方は専業主夫や主婦であった場合、または、少ない収入で年端も行かない未成年の親権を背負わされた場合、さらにはその弱い立場の配偶者が身寄りもろくに無かった場合、離婚をしてもその後の生活に困ってしまう可能性が大いにありえます。そういった場合も離婚成立と見なすことは出来ない事由になります。

子供の未来を考えた場合

夫婦間に子供がいたとすると離婚をすることで、その子供は親権者が再婚しない限り、片親となってしまいます。残念ながら日本では未だに、受験先や就職先によっては両親が揃っていない子供の成長過程における人格形成を疑い、片親の子供を合格候補から外す可能性が少なくありません。そういった理不尽な理由や可能性で子供の未来を台無しにしたくないと考えた場合、離婚成立に至るべきではないと主張する事由になります。

このような理由などから夫婦間で離婚の話し合いが決着しなかった場合、調停離婚へと発展します。その際、調停離婚では、離婚成立に向けて弁護士を雇うことが出来ます。

調停に弁護士がつくメリット



調停離婚において弁護士を雇うのは後々多くの面でメリットがあります。簡単にいえば離婚成立に関する面倒ごとを任せられます。大まかには以下のメリットが挙げられます。

自分の主張を法律上の見解で成立へ仕向けてくれる

誰もが決して自分の考えや意思をその場で的確に伝えられるわけではありません。また、交渉が苦手な人だった場合、相手の口車に乗せられて必要以上に不利な立場に追いやられてしまうこともあります。そういった際に弁護士がついていれば、自分自身が思っていることをきちんとすくい上げ、法的な論拠を持って正当性を代わりに主張するお手伝いをすることが出来ます。

財産分与の際に主張してくれる。

離婚の際には結婚してから共に棲んでいた間、二人で培った財産を分与するという法律があります。しかし、別居していた間に片一方が稼いだ財産も分与に相当すると主張する方もいます。または借金などの負の財産を分与に値するはずだと押し付けてくる方もいます。そういった場合を考え、適切に財産分与に値する共有財産を見極め、分配を代行、または交渉するのが弁護士の役目となります。

相手と会わずに話が済ませられる

場合によっては離婚について話し合いたくとも同じタイミング、同じ空間で話し合えない夫婦もいます。それは例えば深刻なDV被害者であるため、少しでも加害者と顔合わせしたくない方、または、仕事が忙しく、お互いの話し合う場を短期間に何度も簡単に準備が出来ない方、そういった方々の都合をすり合わせることなく、間に立つのが弁護士となります。これによって、離婚の調停者達はお互いに弁護士を通じてのやり取りになり、弁護士を雇った側も弁護士が相手との話し合いを代行してくれるので安心することができます。

子供の面会交流の詳細を取り決めてくれる

夫婦間に出来た子供との面会交流は監護親と非監護親の意見よりもある程度の年齢に達した子供(特に15歳以上)の意見が最も反映されます。また、監護親と非監護親にそれぞれ目立った問題が無かった場合、どちらの意見も重視されます。そういった主張について、整理と優先順位等を付けて、具体的な面会交流の頻度、場所、同席者などなどの取り決めを弁護士が請け負います。

・養育費について見積もってくれる

夫婦間に子供がいた場合、離婚の調停と並行して必要なのが子供の養育費についてです。金額、支払時期、支払期間、支払い方法をしっかり話し合い、書面として契約を交わすと後々の面倒が起こりにくいと言われています。しかし、実際に相手との対話が感情的になって出来なかったり、精神的恫喝をされて来た経験などから萎縮して主張が上手く行かなかったりする方々もいます。そういった時に、弁護士がそういった交渉や書類作成を代行いたします。
また書類を作る段階では公証役場で、公正証書にしておくと、万一、不払いになった場合、強制執行(差し押さえ)ができます。そういった裏打ちが出来る様に、書類作成に関してのお手伝いももちろんいたします。

最後に



離婚という行為は基本的に個人と個人の間での出来事です。叶うならばお互いの間で穏便に済ませることが出来るのが最も理想的です。しかし、お互いの思想や価値観、意見の食い違い、または交渉力の差、感情的発言の抑えが利かない、そもそも身の危険から二度と顔も見たくないなどと様々な状況と理由で決着を付けるのが難しい場合が多々あります。

そこで正当かつ的確にお互いの関係を解消したいと思った時こそ、どうぞ弁護士をお呼びください。誠実丁寧に離婚成立までのプロセスを積み重ねるお手伝いしたいと思います。
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